上高地成り立ちを学ぶ

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2018年9月15日(土)‐16日(日)と「山の自然クラブ-信州講座」に参加した。
信州大学名誉教授の原山智先生による現地現物講座。

上高地は”特別”名勝で”特別”天然記念物の指定が示す通り、日本でもたいへん貴重の自然と風景が絵になる稀有な場所だ。
飛騨山地の南部、槍ケ岳や穂高・常念に抱かれた広い谷あいにあり、本格登山者の聖地でもあり観光の一大拠点。

個人的も涸沢への紅葉登山、北穂高への本格登山など、登山基地として思いで深い場所でもある。
上高地は聖地だが、あくまで出発と終着点に過ぎなかった。が、今回はこの地こそが目的。
先生の講義と現地での痕跡を観ながら、いかにこの広い谷が作られたか、約180万年前から今までを想像しながらこの森を歩く。

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スタートは大正池、残念ながら初日は雨模様。
大正池は、大正4年に焼岳が水蒸気爆発を起こして、梓川を堰き止めてできたことは知っていたが、遡ればもっと大噴火が起きていた。
写真奥にあるはずの山頂部は、2300年前にできた溶岩ドーム。
更に写真にある右のこんもりした山は、4000年前に焼岳が爆発した溶岩流が固まった「下堀沢溶岩」と呼ばれるそうだ。
4000年前といえば、縄文時代か…まず人は住んでいなかっただろうが、仮に住んでいれば大惨事…想像するだけで怖い。
大正池ができた水蒸気爆発は火山としては小規模らしい、川を堰き止め池を造っているのに小規模とは…

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少し歩くと田代池湿原が現れる。
穏やかな水面、写真奥にはもっと広い湿原が広がる。
写真の右側にこんもりした盛り土みたいなもの、これが「流山」と呼ばれるもの。
奥の玄武沢が山体崩壊してくずれた大きな塊がここに留まった、これを「流山」
こんな流れ山がこのあたりには30程度もあるらしい。
時代はそう古くなく、江戸時代:元文元年(約300年前)との説アリ。
急峻な山々では、きっと地震や近く変動で、山が崩れるのだろう。
その流山が、梓川の流れを遮り、少し上流の八右衛門沢の扇状地の拡大に伴い湿地化していったと考えられている。
高層湿原の勉強はしたことあるが、こういう成り立ちの湿原は初めて知った。
これだらか自然や地形の勉強は辞められない (笑)
なぜ、そこに湿原があるのか、それぞれに地形と時間が形作る自然の妙が感じられる。

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河童橋をあっさりと通り過ぎ、白樺荘の真ん前で梓川がクランクして曲がる。
こんなことも言われないと気が付かない、さてなぜか… 
これも山体崩壊と流山だそう。大きな岩石の塊‐滝谷閃緑花崗岩が梓川に散らばっている。
このおかげで、このあたりは浸食されずに、川は90度曲がらざるを得なくなっている。
なるほど。(笑)  
言われて初めて気が付く、不思議。 言われないと気付かないマニアックな世界!

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2007年の空撮に、たまたま大正池から河童橋までの写真があった。
焼岳は急峻で、爆発すれば土石流や溶岩が流れるだろう、
河童橋辺りも、確かに出っ張っていて、梓川がひん曲がっていることが良くわかる。

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時代を少し遡れば、1万2000年前、上高地一体は大きな湖だった!
徳澤まで10辧∧臣海米擦続くなぁ、たるいなぁとは確かに思っていたが…そこは湖底にたまった堆積面。
正確には10kmで80mほど高低差があるらしいが、勾配率1%にも満たない平らな道。
焼岳の奥のアカンダナ山や白谷山が大爆発にてやはり梓川を堰き止めた。
もともとはV字谷だったことろを、深さ300m、奥行きは徳澤までのどでかい湖。
そこを土砂が埋め尽くし、平らな湖底を造り、そしてこの急峻な山間にこんなに広い土地が造られた。
たるいなぁとダラダラ歩いていた道も、巨大な湖の湖底だった!!

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さらにさらに、大きく遡って176万年前、槍ケ岳と穂高はカルデラ火山だった!!!
マグマが地下にたまり、どっかんと大噴火、カルデラが3000mも陥没して、そこに火山灰もたまった。
その痕跡がこの露頭、溶結凝灰岩という火山灰の石化。
ここまで来るともう私の想像の域を超えた世界、はるか古上高地湖をはるかに時間も距離も超えて上空3000mまで火山灰が積もった、ここはその底!!???

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もっと、たくさん興味深い話があったが、また別の切り口でのアップでいずれ…
最後に、先生が徳沢の河原で石を並べ始めました、「さあ試験をしますか!? それぞれの石が時代別に並べてあります、どの時代のなんという石か答えてください」

「・・・」


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なにげに流れる美しい白い梓川、
緑豊かなカラマツやケショウヤナギ、
岩の殿堂穂高の山並み、
特別名勝、特別天然記念物=上高地

なにげに眺めていたこの綺麗な風景に、そんな深い世界があるとは、
世の中は世界は広いなぁと、もっと知らない世界を覗きたい、また感動したい、の1泊2日だった。
2018年9月17日 敬老の日[記]


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